9 Jun 2020

サビアンシンボル 天秤座1度の意味
Libra 1:A butterfly made perfect by a dart through it.
《日本語訳》投げ矢に刺しぬかれて完璧になった蝶
- 肉体と魂の調和
- 魂の変容
サビアンシンボル 天秤座1度の解説
天秤座1度では、蝶(=butterfly)をギリシア神話のプシュケになぞらえることで、象徴的な意味が浮かび上がります。
プシュケの物語
ギリシア神話にはプシュケという美しい人間の娘が登場します。
ある国の王には美しい娘が3人おり、中でも末娘のプシュケの美しさは際立っていました。プシュケの美しさに嫉妬した美の女神アフロディーテは、息子のエロースに命じてプシュケが醜い男と恋に落ちるよう仕向けさせましたが、エロースは誤って恋の矢で自分を傷つけてしまいます。プシュケに恋をしたエロースはプシュケをさらい、森にある立派な宮殿に住まわせ、自分の姿を隠して一緒に暮らすことにしました。
ある夜、意地悪な姉たちにそそのかされたプシュケはランプの明かりで夫の本当の姿を見てしまい、夫が実は神であったことを知ります。怒ったエロースはプシュケの元を立ち去り、プシュケは必死になって夫を探し求めました。
アプロディーテの神殿に赴いたプシュケに対し、アプロディーテはプシュケに3つの試練を与えます。試練はどれも実現不可能に思えましたが、さまざまな神の協力によってプシュケは試練を全うし、最後はエロースと結婚して自分も神となりました。
投げ矢で刺しぬかれた蝶
ギリシア語でプシュケは蝶、霊魂という意味です。プシュケの物語は寓意の話とされており、おそらく蝶が毛虫→蛹→蝶へと変態することから、蝶が魂の変容と関連づけられたのでしょう。また、蝶は美、軽薄さ、儚さの象徴です。矢は男性原理を表し、外向性・攻撃性・論理性などの性質をもちます。
プシュケを半ば誘拐したエロースのアトリビュートは矢、プシュケのアトリビュートは蝶です。“ダーツのような投げ矢で刺しぬかれた蝶”は、神エロースに射止められた人間プシュケが、試練を克服して魂を変容させた様子と解釈できます。
天秤座のテーマは“調和”
天秤座の支配星・金星は“美”をつかさどります。牡牛座の“美”が豊かさによって実現するのに対し、天秤座の “美”は、調和によって実現します。プシュケの物語に象徴されているように、外見の美しさを与えられた天秤座はそれに見合う内面の美しさを、自らの努力で獲得するテーマを背負っているといえるでしょう。この“内面の美しさ”とは、優しさや素直さといった性質ではなく、精神性の高さや霊性の高さを意味します。
しかし、美意識の高い天秤座にとって、自身の内面に潜むドロドロした醜い感情とストレートに向き合うことは苦痛であり、直視することが難しいかもしれません。そのため、天秤座は体系化された理論を通じて、自身の内面にアクセスすることが多いでしょう。
ただし、どんなに緻密な理論であっても、天秤座は宗教というジャンルに対して用心深い態度をとります。宗教の最終目的は信仰による心の解放であり、無条件に神を信じることでそこから先の思考や内省が阻まれるからです。どちらかといえば、(真偽のほどはさておき)魂の成長について考察している<神智学>・秘教学・人智学といった神秘主義、ヨガの教義などに興味をもち、実践しようとするでしょう。